ひみつの庭の物語 最終話
「よろこびの季節」
すべてが過ぎ去った後、庭は静まり返っていました。
彼らが手をとりあったまま、じっと耳をすませていると、
小さな虫の羽音や、遠くで鳴く鳥の声に混じって、
ぽこぽこっと、地面の下から小さな音がしはじめました。
みんな息をころして、音のなる場所を見つめています。
すると突然、ピョンっと小さな芽が飛び出しました。
「あっ!でた!」
みんな一斉に手をたたき、よろこびました。
それが合図になったのか、新しい芽が次々に飛び出し、
あっという間に、地面が明るい緑色になりました。
春が、ようやくやってきたのです。
もうすぐこの庭の片隅も、お花でいっぱいになるでしょう。
(おしまい)